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間奏♪「ポケ短。チューニング」byウクレレさん

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・かざぐるま風がないなら走り出す 忘れ難きは吾の少年

さて今日は、ちょっと普段と毛色を変えていきましょう。

ウクレレさんから初の短歌集「ポケ短。チューニング」をいただきましたので、そこに収録されている歌を紹介したいと思います。
※表記は実際はすべて縦書きですが、改行は原文ママ

冒頭の短歌は、この歌集の全体のイメージを表す歌として挙げてみました。

風車を手に持っていて風がない時に、思わず駆け出してしまう気持ち。
そこにはまわりがどう思おうが関係なく、ワクワクしていたい“少年”の気持ちを秘めたウクレレさんの姿が描かれています。

『少年』の心を忘れない『大人』の歌、いいですねぇ~♪



・間違えて
油性インクで書いてある
ホワイトボードの
消えない記憶

・金色の
トノサマバッタを追ひかけて
時空を跨ぎ今ここにゐる

・砂時計横に倒して僕たちは
夢の世界で戯れていた


『時間』についての歌のうち、好きなものを挙げてみました。

“間違えて~”の歌は、シンプルですがしっかりとした余韻が残りますね。“消えない記憶”に思いを馳せるといろいろ想像できます。“一方的に相手が自分を好きだと思い込んでいた”“嫌なやつだと思って冷たい態度をとっていたら、実は誤解で相手を傷つけてしまった”などなど……でも“消えない”。ホワイトボードは“白い”から、油性インクだとかえって目立つ。しかも、“かんたんに消せる”と思って書いたことが“消えない”ことのダメージ。

“金色のトノサマバッタ~”の歌には、冒頭でふれた『少年』の姿がありますね。
“金色”っていうのが幻想的なイメージをふくらませていますね。アニメとかにしてもいいくらい、ビジュアルとして立っている。はらっぱで“金色”のバッタを追いかけるウクレレ少年がバッタを追いかけていくと、だんだん彼のからだも“金色”の光を帯びてきます。そして、手の中にバッタを捕まえた!と思った瞬間にハッと気づくと家のソファーでうたたねしていた……なんて、さまになりますね。いつまでも『少年』だと思っていたら、もう『大人』になっちゃった。“金色のトノサマバッタ”はいつまでもかわらないけれど、自分は時間を経て『大人』になっていく切なさ少し。

“砂時計~”の歌は、“砂時計”を倒すと時間が止まるパラレルワールド。こどもたちは倒した“砂時計”の“砂”であそんでいるイメージもあります。“砂時計”の“砂”はさらさら落ちるばかりで、なにをつくろうと思っても形にならない世界。儚げです。いつかその世界そのものまでさらさらと落ちていってしまいそうです。

ちょっとおセンチになってしまいました(笑)



・「瓶のフタ開かないの」
って渡される
抜き打ちテストのような
瞬間

・アドレスを赤外線で交換し
ぼくらの赤い糸がつながる

・雨音が消えて静かな雪になり
となりに君がいないと気づく

・遠くから見てれば海は青かったいっしょに暮らし透き通る君

・忘れないようCDに焼き付けた
あの日ふたりで見つけた虹を

・炊きたての
白いごはんがおいしいよ
すっぴんだって君はきれいだ


『男女関係』を表す一連の歌のうち、好きなものを。

“瓶のフタ”。たかがフタとあなどる事なかれ。男の沽券がかかっているのです。特に付き合って日が浅いときにこの抜き打ちテストはものすごく緊張しますね。ちなみに僕は、現在の家庭に於きましてはすべて合格しています(笑)

そして“アドレスを~”の歌。現代的なモチーフを扱った古典的な歌。もしかしたら、僕がいちばんこの短歌集の中で好きな歌かも。“赤外線”を“赤い糸”ととらえる感性がステキです。ナイス・ロマンティッカーです。
ほら、そこのあなたも気をつけて。あなたにその気がなくっても、赤外線通信している相手は“赤い糸”を心の中で繋げているかもしれませんよ……。
この歌を読むと“♪僕らはいつも以心伝心~”とORANGE RANGEの「以心電信」がBGMで流れてきます。

“雨音が~”と“遠くから~”の歌は、ともに『喪失』の歌とも読める。が、この場合は、なぜか安心して読んでいられるんですね……『意識しなくてもちゃんと居てくれる存在』のように思えます。男って意外にロマンティストですから、「雨か……」「雨ね……」なんてパートナーと並んで見ているといつのまにか自分の世界に入ってしまって、「あ、雪になったか……そういえば」と横を見ると相手はおらず、別室で洗濯物を黙々と畳んでいる。なんて情景が思い浮かびます。『青い』海はきれいだけど、一緒に暮らしてみるとさらに『透き通る』、よりピュアであったことを知る。ウクレレさんを立てて空気のように自然に寄り添うパートナーの姿が思い浮かびます。

そして“雨音が~”、“遠くから~”の歌と“忘れない~”の歌からは、ウクレレさんの身の回りの事物・現象に対する細やかな感覚がわかります。雨の『音』が雪の『白さ』に変わり、君がいない『静けさ』に気づくという一連の流れの美しさ。“遠くから~”の歌の『遠く』から見ると『青い』海が『いっしょに暮らす』と『透き通る』という、“距離”と“色”の関係。『CD』の盤面の『虹』色と『記憶メディア』としての特性をひとつの歌において統合したイメージで詠みあげる技術。

そして心にストレートに響く“炊きたての~”の歌。“かざらないでいいよ”ってことをパートナーに伝えることってなかなかできません。自分なんて毎日「化粧したほうがいいよいいよ」とバカみたいに繰り返しては反感を買ってます(笑)ウクレレさんの相手にそそぐ優しい視線が伺われる歌。


最後になりますが。



・「すみません」
つい詫びている僕がいる
足を踏まれた方は
僕です

・追い越すと
挨拶しなきゃいけないし
同じ速さで会社へ向かう

・腹立ちは
堪忍袋に
詰め込んで
心の中の
ウクレレを弾く


いままでの、『少年』と『大人』が同居するウクレレさん、パートナーを気遣う繊細なウクレレさんの姿から一転。


そこには圧倒的な三枚目っぷりを発揮するウクレレさんがいます。それにしても、思わず苦笑してしまうくらい周りに遠慮している『大人』の姿……ものすごいリアリティ。しかし、どの歌にも共感できてしまいますね……僕も大人になったんだ(笑)


特に“足を踏まれた”歌なんて自分の体験とだだカブってきます。

それは、東●東上線の車中での出来事でした。

休日に池袋からの帰りの電車の中で立ちながら本を読んでいると、女子大生だと思われるふたり組が乗ってきました。ふたりは、ひっきりなしにおしゃべりしており、楽しそうに笑い声を立てています。

大人な僕は、「若いって、いいよなバカで……」と微笑ましく思いながら、それでもときどき片一方の女の子が「っけるそれまじでーーっ!?パアーン!!!!!!!」と至近距離で炸裂させる拍手(かしわで)のあまりの音の大きさに鼓膜を心配しながら本に熱中するフリをしていました。

ふと、電車が大きく揺れ、“かしわで”がバランスを崩してこちらに倒れてきました。

「あ、あぶない」と思った僕は、肩を使って(手を使うといらぬ誤解を招く可能性があるため)支えてあげようと身構えました。


その瞬間!

僕の足に激痛が走りました……いっ痛ーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!


そう。僕の足の甲に“かしわで”のサンダルの尖ったヒールが突き立てられたのです。
僕は、痛みに顔をしかめながら“かしわで”の方向に向きました。すると……

「あっ、ごめんなさい……足ふんじゃったけどだいじょうぶですかぁ……?」
「念のため、病院とかいって見てもらいましょうか?わたしたち付き添いますから……」

「あーっはっはっはっはーーーコケてるしーーーーーあーっははははは!!!!!!フヒィ、うっけるーーーーー!!パアーン!!!!!!!
「マジで超よたってんしーーーーー!!!!!!!!!ははははあはははあはあはーーーーーー!!!!!!!!」


……絶句。

ふたりは、ウケるだけウケて次の駅で降りていってしまいました……とうぜん、謝罪のひとつもなく。
でも、自分は何も言えませんでした……何も……。

幸い、踏まれた足は病院にいくまでもなく済みましたが。


あ、脱線してしまいましてすみません。とにかく、中年男っていうのはなさけないもんです。ねえウクレレさん。


“追い越すと~”も共感できすぎます。シンクロ率200%を軽く超えてきます。特に後ろから女性に声を掛けるのってとっても緊張するんですよね……結構女性の髪形って後ろから見るとみんな同じに見えることが多く、間違えたときのリスクを考えるとなかなか踏み切れないし……かといって黙ってスルーすると冷たい人みたいだし……っていう世の男性の葛藤をあますところなく包含した珠玉の一首ですね。


最後に、“腹立ちは~”の歌に、いつも温厚なウクレレさんにも心中穏やかならぬことがあることが知れました(笑)でも、心の中の『ウクレレ』っていうのがいいですよね!僕の心の中では『ディストーションギター』とか『シンバル』とかが鳴り響く場合があります。(ホントはPerfumeでっす♪)


以上、勝手な感想ではありますがへんてこりんな記事の合間に、しごく全うな間奏として述べさせていただきました。本文中にふさわしくない表現等ございましたらご指摘いただければと思います。

ウクレレさん、貴重な手作りの短歌集をどうもありがとうございました。

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コメント

拙歌集を取り上げていただきありがとうございます。

鋭い分析でなんか丸裸にされたみたいで恥ずかしいですが…。

とにかくありがとうございました。

投稿: ウクレレ | 2009年8月26日 (水) 12時30分

ウクレレさん、こんばんは!

ポケットサイズですが、とっても読み応えのある歌集でしたよ!

短歌には、ウクレレさんの人生が浮き彫りになっているのかなと思っていろいろ深読みさせていただきましたが、ウクレレさんだけを裸にするのは忍びないので僕も一緒に脱いでみたつもりです(笑)

これからも、ステキな“オトナ少年”短歌を期待しています!こちらこそ、どうもありがとうございました!

投稿: 岡本雅哉 | 2009年8月27日 (木) 23時49分

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