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僕らが短歌(うた)を詠む理由3

仕事に忙殺されて、断筆しておりました。以下、つづきを記します。

手紙を隠した夜はなかなか寝付けず、ほわほわした気持ちが胸にありくすぐったいような、しかし不安なような複雑な気持ちでした。なにより、スポーツ刈りスポーツ少年だった自分の今の姿を知ったら、Mちゃんは幻滅するのではないかと思いました。
翌日から、部活の練習が本格的になり、また部活後の友達づきあいもあったこともあり、徐々に帰宅時間が遅くなりました。頭に手紙のことはあったものの、暗くなった林の中では手紙を隠した木の発見は容易ではなく、また普通の中学生の例に漏れず自分も寝坊助であったため、早起きして手紙の存在を確認することはできませんでした。そして、何事もなかったかのように日々の生活が続いていき、今思えば大変申し訳なく、また悲しいことですが手紙の存在は自分の記憶から徐々に薄れていきました。
ところがその平穏な日々はあることをきっかけとして一変したのでした。手紙を手にしてから二週間程たったある日、他のクラスのHさんという女子(名前と顔は知っていましたが話したことはありませんでした)が、体育が終わって教室に戻った僕のところにやってきました。
「あの、私Hっていうんですけど、Oくんだよね?ちょっと前に机の中に手紙入ってたの気づいた?」
ちょっと大人びた雰囲気のHさんに真剣な目で見つめられ、そう言われた瞬間に、突如として手紙の存在を思い出し、その発見から木のうろに隠したことが急速に思い出され、“しまった!”と血の気が引いていくのを思い出しました。
頭の中では脳の限界に近いスピードで考えが渦を巻いていきます。
“ああ、見たよって言えばいいけど、Mちゃんの気持ちを考えると、まさか隠してそのままほったらかしにしてあるなんていえないし、おまけに返事も書いてないし、絶対見たっていえないよな…”
「ううん見てないよ?何手紙って?」
そう返事をするまでの時間はほんの一瞬だったと思います。
「そう、じゃあいいんだけど…」
そういってクラスを後にするHさんの横顔がちらっと見えましたが、残念そうな、さびしそうな、なんともいえない複雑な表情でした。北海道に転校したMちゃんからことづかって手紙を僕の机に入れてくれたのは彼女だったのでしょう、自分の手で確かに入れたはずの手紙を“知らない…”といわれたことの意味をMちゃんにどう伝えるか、きっと“残念だけど…脈はないんじゃないかな…”と、そう伝えることは想像に難くありません。
“違うんだ、手紙はちゃんともらったよ!僕も今でもMちゃんのことは…”、一言そう言うだけでよかったのです、しかし僕はそうできませんでした。
こういう状況になってしまったら、Mちゃんに気持ちを伝える方法は一つしかありません。手紙に書いてあった住所に宛てて、自分の本当の気持ちを書いた手紙を送るのです。
僕はなかなか終わらない学校がじれったくてしようがありませんでした。(すみません、もう一回だけつづきます)

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