ペガサスへの違和感
ペガサスへの違和感
超久々のブログ記事更新に戸惑っております。ココログ、インターフェイス変わったな……。
いまさらながら文藝春秋 電子版のほむほむこと穂村弘さんの「短歌のあなた」第1回を視聴して、無性に書きたくなって書きました。
「短歌ください」初の単行本の帯を飾った冬野きりんさんの「ペガサスは私にはきっとやさしくて あなたのことは殺してくれる」の短歌ですが、ほむほむはもちろん、ダ・ヴィンチ掲載時からTwitterやブログでたくさんの人が褒めていましたが僕にはしっくり来ていませんでした。
なぜかというと、僕は中学生から社会思想社および東京創元社のゲームブックを買い漁り、高校生になるやトーキングRPGにはまり土日となれば気合を入れてダイスを振って「クリティカル!」と叫ぶ青臭ファンタジー少年として日々生息しておりました。
もちろん広島の「ヘヴィー・メタル(シルバーアクセサリーと共にメタルフィギュアを販売していた知る人ぞ知る名店)」から届く白黒コピーの新作入荷情報を逐一チェックしてはグレナディア社・ラルパーサ社のメタルフィギュアをオーダーしては自宅に大量のホワイトメタル製品をストックし、プライマーで下地を作っては水性ホビーカラーやタミヤカラーでブラッシングテクニックを磨いたものです。
もちろん幻想生物図鑑の購入やファンタジーのバックグラウンドたる北欧・ギリシャ・クトゥルー神話等の研鑽にも余念なく、リッチとワイトの違いにつき嬉々として講釈を垂れていたものです……ああ恥ずかしい…………
そんな僕でしたから、
ペガサスは私にはきっとやさしくて あなたのことは殺してくれる(冬野きりん・女・18歳)
を読んだ瞬間に、「えっこれペガサスじゃなくね?乙女にやさしいのはユニコーンじゃね?」との違和感を持ったのは当然と言えましょう。
何を隠そう僕も「短歌ください」には投稿しており、ダ・ヴィンチには作者の性別と年齢が掲載されているので(たしか載せたくない人は載せなくてよかったはず)、うら若きお嬢さんとペガサスはどうしても繋がらなかったのです……。
ペガサス、ペーガソスはギリシャ神話によればペルセウスが切り落としたメドゥーサの首の傷口から生まれ、その翼で天に上りゼウスに命じられて雷鳴と稲妻の運び屋として活躍する真っ白なお馬さんです。また英雄ベレロポーンの愛馬だったけれど、調子乗ってイキったベレロポーンを振るい落として再起不能にしちゃったり、地面蹴って泉湧かせちゃったりするだけで女子との絡みは何にもないんです。
では、若い女性とつながる馬型の伝説の生物といえば、そう、勘のいいあなたはお分かりですね。
そう、ユニコーンです!
ギリシャ神話をはじめとしてヨーロッパでは古来より、額に一角を持つその美しさにもかかわらず、獰猛・力つよつよ・勇敢で、象にもビビらずイケイケで、馬や鹿以上に速く走り、額の角でどんなものでも突き通す。しかし人間は飼い馴らすことはできず、生け捕りにされると激しく逆上して自殺してしまうという狂いっぷり。あなたのこともきっと殺してくれる。うん、必ず殺す。必殺仕事馬。
しかしながら、ユニコーンのもう一つの特徴として処女にメロメロになるというだらしなさがある。捕まえたいときには処女を一人にしておくと香りを嗅ぎつけたユニコーンはたちまち目がハートになり近づいて来る。しまいには処女の膝まくらで寝てしまうデレっぷり。
その生態は羽海野チカ先生の「ハチミツとクローバー」において山田あゆちゃんを守るべく奮闘する姿でもことに有名です。
ですので当時の僕は、この短歌を見るたびに、
ユニコンは私にはきっとやさしくて あなたのことは殺してくれる(冬野きりん・女・18歳)
だよなあやっぱ、うん。ちっ!ほむほむめ、女の子に甘いんだから全く……(違和感10%/嫉妬心90%)なんて思ってました笑。
今回、プロレスラーのハイパーミサヲさんがかつての冬野きりんさんという事から、プロレスつながりでほむほむが長州力の「藤波!俺はお前の咬ませ犬じゃないぞ!」との名言を引いて、
こんにちは私の名前は噛ませ犬 愛読書の名は『空気』です(冬野きりん)
を紹介していたんだけど、プロレスで考えたときに「ペガサス」で思い出す名前がありました。
新日本プロレスで活躍したペガサス・キッドです。
ペガサス・キッドなら、たしか初代と二代もいたけどなんかダイナマイト・キッドの後継者で超高速のバックドロップとかやってたな……なんかリックフレアーみたくWWEでも活躍したとか……
検索してみよ。
初代ペガサス・キッド、ああそう、クリス・ベノワだ!カート・アングルとかブロック・レスナーとか、体が冷蔵庫みたいなやつとよく戦っていたっけ……
えっと晩年。
えっ!?
2007年6月24日、CMパンクとのECW王座戦に出場予定だったPPVヴェンジェンスを「家庭の事情」を理由に急遽欠場。翌25日にジョージア州の自宅で妻、息子とともに遺体で発見された。40歳であった。
6月26日、地元警察が調査結果を報告。捜査の結果、ベノワが22日に妻を縛ったうえで絞殺、翌23日には息子に薬物を投与し意識を失わせた状態で窒息死させた後に、自宅地下のトレーニングルームで首吊り自殺したと断定。自宅における多重殺人事件と自殺事件であると推理し発表した。
ペガサスは私にはきっとやさしくて あなたのことは殺してくれる(冬野きりん)
ほむほむ曰く……「怖い歌はいい歌」



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